歯周組織再生療法の成功率は?公的データと成否を分ける条件

歯科スタッフが歯列模型で歯周組織再生療法の成功率を説明する様子

歯周組織再生療法を受けた858例の製造販売後調査では、投与36週後に骨欠損が「改善」と判定された割合は84.50%でした。ただしこの数字は歯の保存を約束するものではなく、骨欠損がどれだけ回復したかの程度を示すものです。土岐市のリーフ総合歯科が、公的データが示す実際の効果と、成否を分ける条件を整理します。

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他院で難しいと言われた症例も、各分野の専門医が連携する当院で診断からご相談いただけます。

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歯周組織再生療法の成功率はどれくらいか

858例の内訳と、あわせて示される増加率55.388%・アタッチメント2.6mmの位置づけ(データ出典: PMDA 再審査申請資料概要 2024年)

製造販売後の使用成績調査858例では、投与36週後に骨欠損が「改善」と判定された割合は84.50%でした。内訳は改善725例、不変130例(15.15%)、悪化3例(0.35%)です(PMDA リグロス歯科用液キット 再審査申請資料概要、2024年公開)。この改善は、治療前後のエックス線写真を比べて骨欠損の回復が認められたことを指します。

成功率は何を測った数字なのか

歯周組織再生療法の効果は、単一の合否ではなく複数の指標で評価されます。骨欠損がどれだけ埋まったか(改善度・増加率)と、歯ぐきと歯の付着がどれだけ回復したか(臨床的アタッチメントの獲得量)は別の物差しであり、同じ治療でも数字の見え方が変わります。成功率という一つの数字だけで語れる治療ではありません。

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評価指標何を測っているか公的データの実測値(投与36週後)受診時に確認したいこと
骨欠損の改善度 エックス線写真で骨欠損が改善/不変/悪化のどれかを判定 改善84.50%・不変15.15%・悪化0.35%(858例) 「改善」の判定基準と撮影条件
新生歯槽骨の増加率 元の骨欠損に対して新しい骨がどれだけ増えたかの割合 平均55.388%(186例) 自分の欠損の深さで何mmに相当するか
臨床的アタッチメントの獲得量 歯ぐきと歯根の付着がどれだけ回復したか 平均2.6mm(490例) 歯周ポケットの再測定を行うか

3つの指標と実測値を1枚に整理し、受診時の確認ポイントを当院が加えたもの(データ出典: PMDA 再審査申請資料概要 2024年)

市販後858例で報告された結果

上の数字は治験ではなく、発売後に実際の診療のなかで集められた成績です。新生歯槽骨の増加率は平均55.388%で、たとえば骨欠損の深さが4mmの部位なら平均で2mm強が回復した計算になります(同資料の公式値を基に当院換算)。臨床的アタッチメントの獲得量は平均2.6mmでした。

同資料では、性別・年齢・喫煙の有無・骨欠損の深さなど28項目の患者背景で層別解析が行われ、有効性に影響を与える背景因子は認められなかったと報告されています。当院はこの結果を「条件を選んで適応を判断すれば、幅広い患者さんに一定の効果が期待できる」という意味だと考えています。ただしこれは骨の回復を示す数字であって、その歯が確実に残ることを保証する数字ではありません。だから、医院で成功率を示されたときは「何を測った数字か」を確認してください。

フラップ手術だけの場合と何が違うのか

手術単独でも2割前後は改善するため、判断材料になるのは絶対値ではなく差分(データ出典: PMDA 再審査申請資料概要 2024年)

再生材料を使わない歯周外科手術だけでも、骨欠損は2割前後改善すると報告されています。第III相試験ではプラセボ群21.579%(100例)に対し0.3%FGF-2群37.131%(208例)で、群間差は15.552%(95%信頼区間8.29〜22.81、P<0.001)でした(PMDA 再審査申請資料概要、2024年公開)。

治験で示された差

手術だけでも一定の骨が回復するという事実は、効果を見積もるうえで欠かせません。別の比較試験では、手術のみの群13.301%、エムドゲイン群23.286%、FGF-2群34.369%という結果でした。臨床的アタッチメントの獲得量も順に1.7mm、2.3mm、2.7mmです。

治療群新生歯槽骨の増加率(36週後)臨床的アタッチメント獲得量
歯周外科手術のみ 13.301%(42例) 1.7mm(43例)
エムドゲイン併用 23.286%(112例) 2.3mm(112例)
FGF-2製剤(0.3%)併用 34.369%(110例) 2.7mm(109例)

同一試験内で3群を比較した数値(データ出典: PMDA 再審査申請資料概要 2024年)

ガイドラインのメタアナリシスが示す効果量

日本歯周病学会は複数の試験を統合した解析結果を公表しています。FGF-2製剤を用いた場合、骨欠損の改善率はプラセボより平均22.03%大きく(p=0.00001)、臨床的アタッチメントゲインは0.38mm大きく(p=0.003)、歯肉退縮量は0.35mm少ないという結果でした。歯周ポケットの減少量には差が認められていません歯周病患者における再生療法のガイドライン2023)。

ただし、アタッチメントについては読み方に注意が必要です。プラセボ対照で行われた第III相試験の単独結果では、獲得量の群間差は0.1mm(95%信頼区間−0.25〜0.47、P=0.541)で有意差が認められていません。複数試験を統合した解析ではじめて0.38mmの差が示されたという関係にあり、両者を同じ強さの根拠として扱うことはできません。

当院はこの内訳を重視しています。再生療法が上乗せするのは主に骨の回復であり、ポケットの浅さは手術の質そのものに左右されるという構図が読み取れるためです。見るべきは絶対値ではなく、手術単独に対する上乗せ分です。だから、説明を受けるときは「手術だけの場合と比べてどう変わるか」を聞いてみてください。

要点: 再生材料の上乗せ効果は、骨欠損の改善率で20%前後、アタッチメントで0.4mm前後という水準で報告されています。手術単独でも一定の改善が得られるため、差分で判断することが現実的な見積もりにつながります。

材料ごとに効果はどう違うのか

費用の順と上乗せ量の順が一致しないことを2軸で可視化(データ出典: 日本歯周病学会 再生療法のガイドライン2023)

骨縁下欠損では、GTR法・エムドゲイン・FGF-2製剤のいずれも行うことが推奨されています。推奨の強さはいずれも「強い推奨」、エビデンスの確実性は中程度です。一方で根分岐部病変ではFGF-2製剤は行わないことが推奨されており、部位によって方向が逆転します再生療法のガイドライン2023)。

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材料骨縁下欠損での推奨フラップ手術に対する上乗せ費用の扱い当院の使いどころ
GTR法(吸収性膜) 強い推奨/確実性 中程度 歯周ポケット−0.71mm、アタッチメント+1.25mm 吸収性膜なら1歯840点(2022年時点)+材料費 2〜3壁性の欠損、2度根分岐部病変
エムドゲイン(EMD) 強い推奨/確実性 中程度 改善率+23.23%、アタッチメント+1.10mm 保険適用外。材料費は0.15mLで約1万5,000円 深く幅のある垂直性骨欠損
FGF-2製剤(リグロス) 強い推奨/確実性 中程度 改善率+22.03%、アタッチメント+0.38mm 保険で受けられる 保険内で対応したい垂直性骨欠損。根分岐部には用いない

推奨の強さ・効果量・費用の扱いを部位の適否とあわせて整理(データ出典: 日本歯周病学会 再生療法のガイドライン2023)

保険適用の有無と選択の実際

FGF-2製剤は2016年12月に発売され、保険で受けられる歯周組織再生療法として使われています。エムドゲインは適用部位にかかわらず保険適用外で、患者負担は数万円になります。GTR法は使う膜の種類によって扱いが変わり、保険適用の吸収性膜であれば負担は数千円から1万5,000円程度です。

当院は、費用の差だけで材料を決めることはしません。骨欠損が縦方向か水平方向か、何壁性か、根分岐部にかかっていないかを先に確定し、ガイドラインが示す推奨の方向に沿って選びます。だから、費用の比較よりも先に「自分の欠損はどの形か」を聞いてください。

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CT・デジタルレントゲンで骨欠損の深さと形を確認し、再生療法が使えるかを判定します。

成否を分ける条件①:骨欠損の形と深さ

再生療法の適応は、歯周ポケットと骨欠損の深さという具体的な数値で定められています。FGF-2製剤はポケット4mm以上かつ骨欠損の深さ3mm以上の垂直性骨欠損、エムドゲインはポケット6mm以上で、エックス線画像上の深さ4mm以上・幅2mm以上の垂直性骨欠損が対象です(日本歯周病学会 再生療法のガイドライン2023)。

適応になる骨欠損の条件

再生療法が力を発揮するのは、失われた骨がすり鉢状に深く落ち込んでいる垂直性の欠損です。周囲に骨の壁が残っているほど新しい骨が育つ足場になるため、GTR法では2壁性または3壁性の欠損が適応とされています。適応の判定は、進行度ではなく骨欠損の形で決まります。

材料歯周ポケットの深さ骨欠損の条件
FGF-2製剤(リグロス) 4mm以上 深さ3mm以上の垂直性骨欠損
エムドゲイン 6mm以上 エックス線上で深さ4mm以上・幅2mm以上の垂直性骨欠損(根分岐部を除く)
GTR法(吸収性膜) 2壁性または3壁性の骨縁下欠損

各材料の適応条件を並べた比較(データ出典: 日本歯周病学会 再生療法のガイドライン2023)

適応外になりやすいケース

骨が全体的に平らに下がった水平性の骨吸収は、再生療法の対象になりません。足場となる骨壁が残っておらず、新しい骨が育つ空間を確保できないためです。奥歯の根の分かれ目に及ぶ根分岐部病変も材料によって扱いが分かれ、FGF-2製剤は行わないことが推奨されています。

当院は、こうした線引きを受診前に自己判断で済ませないことをおすすめしています。骨欠損の形と壁数はエックス線写真だけでは把握しきれず、CTによる立体的な確認が判断を左右します。歯周基本治療で炎症を抑えてからでなければ、そもそも再生療法の効果は発揮されません。だから、まず検査と基本治療の段階から相談してください。

成否を分ける条件②:喫煙と術後の管理

材料で得る分と喫煙で失う分を同じmm目盛りに並べ、禁煙を先に置く理由を示した(データ出典: 日本歯周病学会 再生療法のガイドライン2023)

喫煙は再生療法の結果を明確に押し下げ、学会も喫煙者には行わないことを推奨しています。非喫煙者は喫煙者に比べ、臨床的アタッチメントゲインが平均1.24mm(95%信頼区間1.01〜1.47)、エックス線での骨増加量が平均0.60mm(95%信頼区間0.31〜0.88)大きいという統合解析の結果が報告されています(日本歯周病学会 再生療法のガイドライン2023)。

喫煙で結果はどれだけ変わるか

この差は小さく見えて、実際には上乗せ効果そのものを打ち消しかねない大きさです。前章で見たとおり、再生材料がフラップ手術に加えるアタッチメントの上乗せは0.38mm前後でした。喫煙による目減りが1.24mmという水準であれば、材料で得た分を上回って失われる計算になります。

日本歯周病学会は「非喫煙者と比べて喫煙者には歯周組織再生療法を行わないことを推奨する」と明記しています(推奨の強さは「強い推奨」、エビデンスの確実性は「非常に弱い」)。当院はこれを禁忌の宣告ではなく、手術の前に禁煙という条件を整えるほうが先だという指針だと考えています。だから、喫煙習慣がある方は治療計画の相談と同時に禁煙の相談も進めてください。

変えられる条件から手をつける

成否を分ける要素は、患者さん自身が変えられるものと、変えられないものに分かれます。当院は次のように整理し、変えられる条件から先に着手する方針を取っています。

区分該当する条件手の打ち方
患者さんが変えられる 喫煙、日々のプラークコントロール、定期メンテナンスの継続 手術前に禁煙とセルフケアを整え、術後の管理計画まで決めておく
変えられない 骨欠損の形態と壁数、欠損の深さ、部位(根分岐部かどうか) 検査で正確に把握し、適応の可否と材料選択に反映する
医院側の要素 診断精度、術式の選択、切開線の設計、術後管理体制 CT・デジタルレントゲンでの精密診断と、専門医連携での術式選択

成否に関わる条件を当院の判断軸で3分類したもの(データ出典: 日本歯周病学会 再生療法のガイドライン2023、PMDA 再審査申請資料概要 2024年)

変えられる条件を先に整えることが、成功率を上げる最短の道です。

要点: 喫煙の有無による差(アタッチメントで1.24mm)は、再生材料が手術に上乗せする効果(0.38mm前後)を上回る水準で報告されています。禁煙とセルフケアは、術前に整えるべき前提条件です。

期待どおりに再生しない場合とリスク

治験の併合データでは、0.3%FGF-2群429例中54例(12.6%)に副作用が認められました(PMDA 再審査申請資料概要、2024年公開)。また第III相試験などにおける有害事象の発現頻度はプラセボ群と差がなく、オッズ比1.05(95%信頼区間0.73〜1.52)と報告されています(日本歯周病学会 再生療法のガイドライン2023)。手術そのもののリスクとは別に、材料固有の注意点が存在します。

報告されている副作用

発売後、投与部位の近くにある歯槽粘膜や頬粘膜で組織の過剰増生に関する症例が集まったことから、2021年2月に「硬結」と「肥厚」が副作用の項目へ追加されました。ガイドラインは、下顎の第二大臼歯の頬側など付着歯肉の幅が狭い部位で、歯肉歯槽粘膜境を越える縦切開や減張切開を行い、薬剤が骨欠損の外へ流れ出た場合に起こりやすいと注意を促しています。

当院はこの記載を、切開線の設計と薬剤の塗布範囲という術者側の管理で減らせるリスクと理解しています。だから、手術を受ける前に切開の範囲と術後に起こりうる変化について説明を求めてください。

再生が不十分だった場合の選択肢

前掲の使用成績調査では、858例のうち130例(15.15%)が「不変」と判定されています。骨の回復が思うように進まなかった場合でも、そこで打つ手がなくなるわけではありません。歯周基本治療とメンテナンスで進行を抑えながら経過を追う、部位や条件を見直して再度の外科処置を検討する、といった道が残されています。

保存が難しいと判断された場合には、抜歯後に噛む機能をどう補うか(入れ歯・ブリッジ・インプラント)まで含めて計画を立て直します。当院は、手術前の段階で「うまくいかなかったときにどうするか」まで共有しておくことを大切にしています。費用面でも、保険で受けられるFGF-2製剤か、自由診療で数万円の負担になるエムドゲインかで見通しが変わるため、事前の確認が欠かせません。

当院の見解:成功率は数字より条件の確認で決まります

歯周組織再生療法の成功率は、対象となる母集団と評価指標が変われば大きく動く性質の数字です。だからこそ当院は、成功率という単独の数字を掲げるのではなく、骨欠損の形・深さ・部位、そして喫煙とセルフケアという条件を一つずつ確認する進め方を採っています。数字より先に、自分の条件が当てはまるかを確認してください。

厚生労働省の令和6年歯科疾患実態調査では、80歳で20本以上の歯が残っている人の割合が61.5%まで上昇しました(前回の令和4年は51.6%/厚生労働省、2025年6月公表)。当院はこれを「早く手を打てば歯を残せる時代になった」証だと見ています。抜歯と言われた段階でも、精密診断を経て保存の可能性を検討する価値は残っています。

当院では、日本口腔外科学会認定医の院長を中心に、歯周病・口腔外科・補綴の担当医が連携して方針を組み立てます。痛みへの不安が強い方には静脈内鎮静法による無痛外来も用意しています。なお、個別の症状や適応の判断については、歯科医師の診察を受けてご確認ください。

よくある質問

歯周組織再生療法は保険適用で受けられますか?

FGF-2製剤(リグロス)を用いる方法は保険で受けられます。エムドゲインは適用部位にかかわらず保険適用外で、患者負担は数万円です。GTR法は使用する膜によって異なり、保険適用の吸収性膜であれば一次手術に1歯840点(2022年時点)が算定され、負担は数千円から1万5,000円程度になります(日本歯周病学会 再生療法のガイドライン2023)。

リグロスとエムドゲインは何が違いますか?

有効成分と保険の扱いが異なります。リグロスは細胞の増殖を促す成分を用いた保険適用の薬剤で、エムドゲインは幼若ブタの歯胚に由来するタンパク質を主成分とする自由診療の材料です。同一試験内での比較では、新生歯槽骨の増加率がリグロス34.369%、エムドゲイン23.286%と報告されています。

効果はいつごろ判定できますか?

公表されている臨床試験と使用成績調査は、いずれも投与36週後(約9か月後)を主な評価時点としています。骨の回復には時間がかかるため、手術直後ではなく数か月単位での経過観察とエックス線での比較によって判断されます。

再生が不十分だった場合、もう一度手術できますか?

条件によっては再度の外科処置を検討できます。使用成績調査では858例のうち130例(15.15%)が「不変」と判定されており、想定どおりに進まない場合があります。まずは炎症の状態と骨欠損の形を再評価したうえで、再手術か、基本治療とメンテナンスでの経過観察かを歯科医師と相談することになります。

まとめ

歯周組織再生療法の成功率は、市販後858例の調査で骨欠損の改善が84.50%と報告されていますが、これは骨の回復の程度を示す数字で、歯の保存を約束するものではありません。フラップ手術だけでも一定の改善が得られるため、判断の軸は上乗せ分に置くのが現実的です。そして結果を大きく左右するのは、骨欠損の形と深さ、そして喫煙と術後の管理という条件でした。条件を整えて臨めば、抜歯と言われた歯を残せる可能性は確かに広がります。土岐市のリーフ総合歯科は、精密診断と専門医連携でその見極めをお手伝いします。

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