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根管治療は麻酔をしたうえで行うため、治療中に強い痛みを感じることはほとんどありません。痛みが出るのは治療前・麻酔が効きにくいとき・治療後の3つの場面で、それぞれ打てる手が違います。土岐市のリーフ総合歯科が、3つの場面と痛みを抑える方法をお伝えします。

痛みが引いても治ったわけではなく、神経が死んだ後は根の先に細菌の巣ができる(出典: 日本歯科医師会)
根管治療そのものは麻酔をしたうえで行うため、治療中に強い痛みを感じることはほとんどありません。根管治療とは、歯の内部にある歯髄(一般に「歯の神経」と呼ばれる、神経と血管が通った組織)が細菌に侵されたときに、感染した神経と細菌を取り除き、内部を清潔にしてから薬剤を詰める治療です。
虫歯は、歯に穴があいた段階でも、その内側の象牙質が壊れていく段階でも、痛みを感じないことが多いまま進みます。細菌が歯髄まで届いて初めて耐えがたい痛みが出ると、日本歯科医師会も説明しています(日本歯科医師会)。
つまり根管治療を受ける方の多くは、治療を始める前からすでに痛みを抱えた状態で来院します。当院は「根管治療は痛い」という印象の多くが、処置そのものではなく来院時点の炎症の強さに由来していると考えています。痛みの強さは我慢強さではなく、炎症がどこまで進んだかで決まります。だからこそ、痛みが出た段階で早めに受診したほうが、結果的に楽に治療を終えられます。

今の痛みがどの場面かで、早めの受診・その場での申告・血流を上げない生活と打つ手が変わる(日本歯科医師会の情報と当院の診療内容をもとに作成)
痛みが出るのは、治療前・麻酔が効きにくいとき・治療後の3つの場面です。原因も対処もそれぞれ違い、治療前の痛みは歯髄の炎症、治療中の痛みは麻酔が届きにくい状態、治療後の痛みは処置を受けた組織が落ち着くまでの一時的な反応によって起こります。
何もしなくてもズキズキする、冷たいものや温かいものがしみて長く尾を引く、といった痛みは、歯髄に細菌が入り込んで炎症が起きているときの典型的な出方です。この段階を過ぎて神経が死ぬと、痛みは一度おさまります。ただし内部では細菌が繁殖を続け、やがて歯の根の先端部分の顎の骨のなかに細菌の巣をつくります(日本歯科医師会)。
痛みが引いたことは、治ったことを意味しません。顎の骨のなかで炎症がひどくなると顔全体が大きく腫れ、熱が出て全身に影響が及ぶこともあります。逆に、痛みがまだ出ていない段階で神経を取る判断になることもあります。痛みの有無と感染の進み具合は一致するとは限らないためです。
治療中に痛みを感じるとしたら、その多くは麻酔が十分に届いていない状態で起きています。麻酔が効きにくくなる条件はいくつかあり、そのひとつが治療する歯の位置です。下顎の奥歯は麻酔が比較的効きにくい場所で、この部分では通常の注射に加えて、神経の根元に効かせる伝達麻酔を併用することがあります(日本歯科医師会)。
強い炎症が起きている歯も、麻酔が効きにくくなることがあります。麻酔を追加する、伝達麻酔に切り替える、炎症を鎮める処置を先に行って日を改める、といった対応があり、当院では歯の状態と体調をみて選んでいます。
なお、神経を取り除いたあとの回では、麻酔を使わずに進めることがあります。痛みを感じる組織そのものがすでに取り除かれているためで、麻酔を省いたわけではありません。気になるときは治療前に確認してください。
処置を終えた直後から数日は、鈍い痛みや噛んだときの違和感が残ることがあります。根管の内部を器具で清掃し、薬剤を入れた刺激に、根の先の組織が反応するためです。通常は日を追って軽くなっていきます。
この時期に痛みを強めやすいのが、血流が上がる行動です。長風呂・激しい運動・飲酒は、痛みが落ち着くまで控えてください。処方された痛み止めは、我慢してから飲むより、痛みが強くなる前に指示どおり使ったほうが楽に過ごせます。
痛みが日ごとに強くなる、腫れが広がる、熱が出るといった変化があるときは、経過を待たずに担当の歯科医院へ連絡してください。
| 場面 | 主な原因 | 歯科医院側の対処 | 患者側にできること |
|---|---|---|---|
| 治療前 | 歯髄の炎症・根の先の感染 | 診査で原因を特定し、炎症を鎮める処置から入る | 痛みが出た時点で早めに受診する |
| 治療中 | 麻酔が届きにくい(下顎の奥歯・強い炎症・体調) | 麻酔の追加、伝達麻酔の併用、日を改める | 痛みを感じたらその場で伝える |
| 治療後 | 器具や薬剤の刺激に組織が反応 | 痛み止めの処方と経過の確認 | 血流が上がる行動を控え、痛み止めを早めに使う |
痛みが出る3場面を、原因と「誰が手を打てるか」で整理(日本歯科医師会の情報と当院の診療内容をもとに作成)
要点: 痛みは3場面のどこで出ているかで打つ手が変わります。治療前は受診の早さ、治療中は伝えること、治療後は生活の仕方が、体感の痛みを左右します。
治療中に痛みを感じたら、我慢せずその場で伝えてください。口を開けたままでも合図できるよう、手を挙げて知らせる方法を治療前に決めておくと伝えやすくなります。伝えたあとは麻酔の追加や方法の切り替え、日を改めての再開といった選択肢があり、痛みを我慢したまま処置が続くことはありません。
痛みを伝えると治療が中断して申し訳ない、と感じる必要はありません。どこで痛むかは、麻酔がどこまで効いているかを知る手がかりになります。当院は、痛みの申告を治療の妨げではなく、麻酔の追加位置を決めるための情報として扱っています。
逆に、痛みを伝えないまま処置が進むと、麻酔が不十分な状態が最後まで続きます。痛みに弱いという自覚がある方や、過去の治療でつらい思いをした経験がある方は、治療が始まる前にその旨を伝えておくと、麻酔の量や進め方に配慮を受けやすくなります。

増点幅より1回の窓口実額で見ると、保険の根管治療の負担がつかめる(出典: 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】の公式値を基に当院換算)
痛みを左右するのは麻酔の量よりも、根管の内部に感染を残さずに処置できるかどうかです。取り残しがあれば炎症が続き、治療後の痛みが長引いたり、いったん治まった痛みが再発したりします。設備と時間の条件が、そのまま痛みの出方に跳ね返ります。
歯の根の内部は、太さが髪の毛ほどとも言われる細さで、形も人によって異なり、曲がっている場合もあります。肉眼だけでこの内部を把握することには限界があり、見えない部分に感染が残れば、そこが痛みの原因になり続けます。
痛みを減らすのは麻酔の強さではなく処置の精度です。当院はこの考えから、マイクロスコープを用いた根管治療(肉眼の数倍から数十倍に視野を拡大できる歯科用顕微鏡を使う処置)を、保険診療・自由診療のどちらの枠組みでも必要に応じて行っています。取り残しを減らせば、治療後に残る痛みも短く済みます。
保険診療で顕微鏡を使った根管治療の加算を算定するには、制度上2つの条件があります。院内にマイクロスコープが置かれているだけでは、この加算の条件を満たしません。厚生労働省の通知では、加圧根管充填処置の手術用顕微鏡加算は「施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関」で、「複雑な解剖学的根管形態を有する歯に対する歯科用3次元エックス線断層撮影装置を用いて得られた画像診断の結果を踏まえ」て用いた場合に算定すると定められています(厚生労働省 歯科診療報酬点数表に関する事項、2026年8月時点)。
当院はこの手術用顕微鏡加算の施設基準を届け出ており、届出内容を当院 届出施設基準のご案内で公開しています。設備の有無は院内の掲示だけでは確かめにくいため、医院を選ぶときは「顕微鏡があるか」ではなく「届出があるか」で確かめる方法があります。
保険の根管治療は、2026年度(令和8年度)の診療報酬改定で評価が引き上げられました。根管に薬剤を緊密に詰める加圧根管充填処置は全区分で増点され、さらに3根管以上のケースで算定するNi-Tiロータリーファイル加算(ニッケルチタン製の器具を電動で回転させ、根管の壁を削って形を整える処置への加算)から、歯科用CTによる撮影の要件が撤廃されています(厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】、2026年8月時点)。
| 項目 | 改定前 | 改定後 | 医療費 | 窓口負担の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 加圧根管充填処置 単根管 | 139点 | 150点 | 1,500円 | 約450円 |
| 加圧根管充填処置 2根管 | 168点 | 180点 | 1,800円 | 約540円 |
| 加圧根管充填処置 3根管以上 | 213点 | 230点 | 2,300円 | 約690円 |
| Ni-Tiロータリーファイル加算(3根管以上) | 150点(CT撮影が要件) | 150点(CT要件を撤廃) | 1,500円 | 約450円 |
厚生労働省の公式値を基に当院換算。点数×10円を医療費とし、その3割を70歳未満の窓口負担の目安とした(点数と10円の関係/負担割合、2026年8月時点)。実際の窓口負担は同日の他の項目と合算して確定します
当院はこの改定を、精密な器具を保険の枠内で使いやすくする方向の変化と考えています。「精密な根管治療は自費でしか受けられない」と決めつける前に、まず保険診療で何ができるかを担当医に確認してみてください。
要点: 顕微鏡の加算には届出とCT画像診断という制度上の条件があり、2026年度の改定で保険の根管治療の評価は引き上げられています。設備の宣伝文句ではなく、届出と診断方法で医院を確かめられます。

回数の差は1回にかけられる時間の配分の差で、間隔どおりに通いきることが再発防止につながる(当院の根管治療の通院回数と所要時間に基づく)
保険と自費の差は、担当する歯科医師の腕そのものより、1回にかけられる時間・診断の方法・感染対策の範囲に表れます。保険診療は国が定めたルールに沿って進めるため費用を抑えられる一方、診断には平面的なレントゲンを用い、使える薬や器具も決められた範囲に限られます。
| 比較項目 | 精密根管治療(保険外) | 保険の根管治療 |
|---|---|---|
| 治療時間 | 十分な時間を確保 | 時間に制限あり |
| 診断方法 | CTによる立体診断 | レントゲン診断 |
| 感染対策 | ラバーダム防湿 | 特別な防湿なし |
| 専用の薬剤・器具 | 使える | 使えない |
| 費用(税込) | 132,000円 | 保険の自己負担分 |
当院の根管治療の診療内容と費用に基づく(2026年8月時点)
差が出るのは腕ではなく、1回にかけられる時間と使える道具の範囲です。当院はまず保険診療を前提にご説明し、再発をできるだけ抑えたい場合の選択肢として精密根管治療をお示ししています。どちらが合うかは歯の状態によって変わるため、レントゲンやCTの所見をご覧いただいてから選んでいただく運用にしています。
回数の多さは、痛みと並んで負担に感じられる部分です。当院の目安は次のとおりで、被せ物を作る場合はここに2回が加わります。
| 比較項目 | 精密根管治療 | 保険の根管治療 |
|---|---|---|
| 通院回数 | 1回(まれに2回) | 通常3〜4回程度 |
| 1回の時間 | 約90分 | 約45分〜 |
当院の根管治療の通院回数と所要時間に基づく(2026年8月時点)
保険の根管治療で回数が増えるのは、1回あたりに確保できる時間の制約から、清掃と消毒を複数回に分けて進めるためです。回数が多いこと自体は治療が長引いている印ではありません。ただし通院の間隔が空くと根管内で細菌が増えやすくなるため、指示された間隔で通いきることが、結果的に痛みの再発を防ぎます。
あります。歯髄をすでに取り除いた歯では、痛みを感じる組織自体が残っていないため、2回目以降の消毒や充填の際に麻酔を使わないことがあります。一方、神経が残った状態で歯髄を取る処置(抜髄)では麻酔を用います。麻酔の有無に不安があるときは、その回に何をするのかを治療前に確認してください。
当院の場合、保険の根管治療で通常3〜4回程度、1回あたり約45分からが目安です。自費の精密根管治療では1回(まれに2回)、1回あたり約90分で行っています。いずれも被せ物を作る場合は2回が加わります。歯の根の数や炎症の程度によって前後します。
処方された痛み止めがある場合は、その指示に従ってください。市販薬を併用する前には、処方薬との重複を避けるため担当の歯科医院へ確認してください。頬の外から軽く冷やす程度は差し支えありませんが、冷やしすぎは避けてください。痛みが日ごとに強まる、腫れが広がる、熱が出るといった場合は、市販薬で様子を見ずに受診してください。
鎮静法という選択肢があります。ただし日本歯科医師会は、精神鎮静法について、不安や恐怖はやわらぐものの、歯を抜いたり神経をとったりするような強い痛みまでは取れないため、痛みを伴う処置では局所麻酔を併用すると説明しています(日本歯科医師会)。鎮静は不安や恐怖をやわらげるためのもので、痛みは局所麻酔で取る、という役割分担になります。
当院の無痛外来では、親知らずの抜歯・インプラント治療・歯周外科治療・長時間の歯科治療を対象に、静脈鎮静法で対応しています(自由診療・110,000円 税込)。妊娠中の方と小児には使用できず、術後は車や自転車の運転を避けて付き添いの方とお越しいただく必要があります。根管治療で適応になるかは治療内容と体調によって変わるため、当院 無痛外来へご相談ください。
根管治療そのものは麻酔をしたうえで行うため、治療中に強い痛みを感じることはほとんどありません。痛みが出るのは治療前・麻酔が効きにくいとき・治療後の3場面で、早めの受診、その場で伝えること、生活の仕方という別々の打ち手があります。そして痛みの出方を大きく左右するのは、根管に感染を残さない処置の精度と、1回にかけられる時間です。歯の痛みを我慢して先送りするほど、麻酔は効きにくくなり、通う回数も増えていきます。まずは今の歯の状態を診てもらうところから始めてください。