コラム

「子どもの頃の歯医者の記憶が怖くて、今でも足がすくんでしまう」

そう感じるのはあなただけではありません。

実は、今の歯科治療は昔とは違い、麻酔や診療環境の工夫によって“痛みをできるだけ抑える配慮”が広く取り入れられています。

そこで今回は、歯科恐怖症の原因や、痛みに配慮した現在の治療法、安心して通える歯医者さんの選び方についてご紹介していきます。

怖い気持ちを抱えたままにせず、まずは安心への第一歩を一緒に踏み出しましょう。

大人になっても歯医者が怖いと感じる理由

子どもの頃に「治療は痛くて当たり前」という時代を経験している方は少なくありません。

そのため、今でも「歯医者＝怖い」と体が反応してしまうのは自然なことなのです。

ここでは、多くの方が抱きやすい代表的な理由を3つご紹介します。

過去の痛い経験やトラウマ

昔の歯科治療は、今ほど麻酔や設備が整っていませんでした。

「麻酔が効かずに痛かった」
「押さえつけられて治療された」

こういった経験は、強いトラウマとなりやすく、大人になっても歯科医院に行くのをためらう大きな要因になります。

そのため「もう大人だから平気なはず」と思っていても、歯医者の椅子に座った途端に不安がよみがえるのは、決して珍しいことではありません。

器具の音や匂い・嘔吐反射への不安

歯を削るときの「キーン」という音や、独特の薬品のにおいを苦手に感じる方もいます。

また、「嘔吐反射（おうとはんしゃ）」といって、口の奥に器具が入ると吐き気を感じやすい体質の方もいます。

これは誰にでも起こり得る自然な反応であり、「自分だけが弱い」と思う必要はありません。

何をされるかわからない戸惑い

歯医者では、治療の流れが分からないまま始まることがあります。

「次は何をされるのか」と先が見えない状況は、多くの人にとって大きな戸惑いにつながります。

昔は説明が十分でなく、気づいたら器具が口の中に入っていたという経験をした方も多いでしょう。

その記憶が残っていると、今も「歯医者＝怖い」と感じやすくなります。

もしかして「歯科恐怖症」かも？放置するリスクと早期相談のメリット

「歯が痛むのに怖くて予約できない」
「通院を考えるだけで動悸や冷や汗が出る」

こうした状態が続いている場合は、歯科恐怖症（しかきょうふしょう）かもしれません。

これは単なる“怖がり”ではなく、強い恐怖心が通院そのものを妨げてしまう状態を指します。

歯科恐怖症とは？ただの怖がりとの違い

歯科恐怖症とは、歯科治療に対して強い恐怖心や不安を抱き、日常生活に影響が出るほど通院が難しくなる状態をいいます。

• 「怖いけれど頑張れば通える」
  → 一般的な怖がり
• 「予約すらできず、椅子に座るだけで涙が出る」
  → 歯科恐怖症の可能性あり

つまり、怖さが“行動を止めてしまう”かどうかが大きな違いです。

こんな症状はありませんか？歯科恐怖症のセルフチェック

次の項目にいくつか当てはまる場合は、歯科恐怖症の傾向があるかもしれません。

• ▪️ 子どもの頃の痛い経験を思い出して通えない
• ▪️ 匂いや音を想像するだけで不安になる
• ▪️ 痛みがあっても「怖いから」と先延ばしにしてしまう
• ▪️ 椅子に座ると体が固まって動けない

当てはまったとしても、同じ悩みを抱える人は多いため、「自分だけ」と思う必要はありません。

早めの相談で広がる未来の選択肢

怖さから通院を先延ばしにすると、虫歯や歯周病は進行してしまいます。

初期なら詰め物で済む治療も、放置すれば神経を取ったり、抜歯が必要になることもあります。

一方、早めに相談すれば「痛みに配慮した麻酔法」や「リラックスできる診療環境」など、選べる治療の幅は広がります。

怖い気持ちを一人で抱え込まず、まずは「怖いのですが…」と正直に伝えることが、未来を守る第一歩です。

「痛い・怖い」を減らす歯科医院の5つの工夫

「歯医者は痛いし怖い」と思って足が遠のく方は多いですが、今の歯科医院ではさまざまな配慮が行われています。

ここでは代表的な5つの取り組みをご紹介します。

① 痛みを和らげる麻酔

治療で最も怖いのが「麻酔の注射」という声は少なくありません。

現在は、以下のような工夫が使用されています。

• ▪️ 針を刺す前にジェル状の薬を塗る表面麻酔
• ▪️ 一定の速度で麻酔を注入する電動麻酔器
• ▪️ 細さを工夫した極細針　など

※これらの方法には体質や健康状態によって適さない場合があります。効果や感じ方には個人差があるため、詳細は診察時にご相談ください。

② 治療前のカウンセリング

椅子に座ったらすぐ治療が始まる…という不安を減らすため、多くの医院で事前カウンセリングが行われています。

「痛みに弱いのでゆっくり進めたい」「途中で休憩したい」など希望を伝えておくことで、安心して治療に臨めます。

③ 音や視線が気にならない個室診療

「他の患者さんの視線が気になる」「治療音を聞くだけで緊張する」という方もいます。

そこで、個室や半個室の診療室を整える医院も増えており、落ち着いた空間で治療を受けやすくなっています。

④ 丁寧で分かりやすい説明

今の歯科医院では、治療の前に「今日はここを治療します」「このくらいの時間がかかります」と説明してくれるのが一般的です。

さらに、写真や模型、モニター画面を使って説明してくれる医院もあり、目で見て理解できる安心感があります。

⑤ 担当制で安心できる関係づくり

「毎回ちがう人だと落ち着かない」という声に応え、担当制を導入している医院もあります。

同じ歯科衛生士が継続してサポートすることで、ちょっとした悩みも相談しやすくなり、通院のハードルが下がります。

あなたに合う「怖くない歯医者」探しのポイント

「痛みが怖いから」と通院を先延ばしにすると、治療が大がかりになりやすくなります。

大切なのは、自分に合った“安心できる歯医者さん”を見つけることです。

ここでは、探すときに役立つ3つのポイントをご紹介します。

痛みに配慮した治療法を取り扱っている

ホームページや案内に、痛みや麻酔に関する記載があるか確認してみましょう。

医院によって対応できる内容が異なるため、希望があれば事前に相談してみると安心です。

丁寧な説明とカウンセリングがある

治療の流れや所要時間をきちんと説明してくれる医院なら、不安は大きく軽減されます。

初診時にじっくり話を聞いてくれるかどうかも重要なポイントです。

安心できる環境や雰囲気が整っている

設備や説明だけでなく、医院全体の雰囲気も通いやすさに直結します。

• ▪️ 個室や半個室の診療室がある
• ▪️ 清潔感がある
• ▪️ スタッフが笑顔で対応してくれる

こうした環境なら「また通ってもいい」と思いやすくなります。

口コミや体験談を参考にするのも良い方法ですが、最終的には自分自身が落ち着けるかどうかが大切です。

まとめ｜「怖い」と思う気持ちに寄り添ってくれる歯医者を選びましょう

「歯医者は怖い」「痛いのが嫌で行けない」という気持ちは、あなただけではありません。

今の歯科医院は、

• ▪️ 麻酔や治療の工夫で痛みをやわらげる
• ▪️ カウンセリングで気持ちを聞いてくれる
• ▪️ 個室や担当制でリラックスできる環境を整えている

といった取り組みを行っています。

歯科医院を選ぶときは、ぜひこれらを意識してみてください。