コラム

「インプラント治療って、本当に医療費控除の対象になるのかな…」

そう感じたことはありませんか。

実は、噛む機能の回復など、医療上必要とされるインプラント治療は、医療費控除の対象になる可能性があります。

そこで今回は、インプラントが医療費控除の対象となる条件や制度の仕組み、申請方法について解説します。

さらに「具体的な流れや必要な書類も知りたい」という方のために、申請の手順や控除額の計算例もまとめました。

インプラント治療を考えていて、費用の不安を少しでも減らしたい方は、ぜひ参考にしてください。

インプラントと医療費控除の基礎知識

インプラント治療は高額になりやすく、経済的な負担を減らしたいと考える方は少なくありません。

そんなときに知っておきたいのが「医療費控除」という制度です。

ここでは、インプラント治療と医療費控除の基本的な関係や条件を説明します。

医療費控除とは？制度の仕組みと申請条件

医療費控除とは、1年間（1月1日～12月31日）に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告を行うことで所得税や住民税が軽減される制度です。

一般的には、医療費の合計額が10万円（または所得金額の5％）を超えると対象になります。

対象には自分だけでなく、生計を同じにする配偶者や家族の分も含められます。

※参考：国税庁｜No.1120 医療費を支払ったとき（医療費控除）

インプラント治療は医療費控除の対象になる？

インプラントは健康保険が適用されない自由診療ですが、噛む機能の回復など医療上必要な場合は、医療費控除の対象になります。

たとえば入れ歯が合わず、噛むことが困難なためにインプラントを選択したケースなどが該当します。

💡関連記事：【50代から始めるインプラント】後悔しないための基礎知識と費用・注意点｜リーフ総合歯科

医療費控除の対象外になるケース

見た目の改善だけを目的とした治療（審美目的）は対象外です。

たとえば、歯並びは機能的に問題ないのに、見た目を良くするためだけのインプラントは控除を受けられません。

ただし、見た目の改善と同時に噛む機能の回復も必要な場合は、機能回復に関する部分が対象になることもあります。

判断が難しいときは、事前に税務署に相談すると安心です。

医療費控除でどれくらい負担が減る？

還付額は所得や治療費によって異なりますが、計算方法を理解すれば大まかな目安がつかめます。

ここでは計算式や事例、対象となる費用を解説します。

医療費控除額の計算方法とシミュレーション

控除額は以下の式で求められます（最高で200万円）。

• 医療費控除額
  =（年間医療費の合計 − 保険金などで補てんされた金額）− 10万円（総所得金額が200万円未満の人は総所得金額の5％）

この金額に所得税率をかけた額が還付されるおおよその金額になります。

• シミュレーション
• 例：年間の医療費が60万円、保険金などの補てんなし、年収500万円（所得税率20％）
  
  （600,000 − 100,000） × 20％ = 100,000円が還付目安

※あくまでも目安となり、必ずこの金額の還付がされるわけではありません。

※参考：国税庁｜No.2260 所得税の税率

医療費控除の申請方法と必要書類

制度を活用するには、正しい方法で申請することが大切です。

時期や場所、必要な書類を事前に確認しておくと、スムーズに手続きが進みます。

ここでは申請の流れと注意点を詳しく解説します。

申請できる時期と提出先（確定申告の期間と方法）

確定申告の申請は、治療を受けた翌年の2月16日〜3月15日に行います。

税務署への提出のほか、自宅からオンラインでできるe-Taxも利用可能です。

必要な書類一覧

• ▪️ 歯科医院発行の領収書（インプラント治療に関するもの）※原則5年間保管義務あり
• ▪️ 医療費控除の明細書（国税庁HPからダウンロード可能）
• ▪️ 源泉徴収票（会社員の場合）
• ▪️ マイナンバーカード（または通知カード）と本人確認書類（運転免許証など）

e-Taxで申請する場合の3ステップ

1. 国税庁のe-Taxページから医療費控除の入力フォームを開く
2. 領収書や明細書をもとに金額を入力
3. マイナンバーカードまたはID・パスワード方式で送信
   電子申告の場合、領収書の提出は不要ですが、必ず保管しておきましょう。

デンタルローン・クレジット払いの場合の注意点

医療費控除には、ローンやクレジットカードでの支払いも含めることができます。

その場合は支払日が基準になるため、ローンや分割払いでも実際に支払った年分の金額を申告します。

たとえば2025年に契約し、初回引き落としが2026年の場合、その分は2026年分として申告します。

医療費控除の活用で知っておきたいポイント

医療費控除は条件や期限を守れば、大きな節税効果が期待できます。

ここでは、制度を賢く活用するためのポイントをご紹介します。

家族の医療費を合算して申請できる

同一生計であれば、扶養関係にかかわらず合算することが可能です。

たとえば、ご夫婦それぞれが歯科治療を受けた場合や、お子さんの矯正治療費も同じ家計なら合算できます。

まとまった額になると、控除額が大きくなることがあります。

過去5年まで遡って申請できる

うっかり申告を忘れてしまっても、5年以内であればさかのぼって申請できます。

年度ごとに整理して、まとめて手続きする方も少なくありません。

そのためにも、歯科医院等でもらった領収書は、必ず自宅で保管しておきましょう。

申請漏れ・書類不足を防ぐためのチェックリスト

• ▪️ 領収書は封筒にまとめて保管
• ▪️ 交通費は日付・区間・金額をメモ
• ▪️ 医療費控除明細書の記入漏れ防止
• ▪️ 給付金や保険金があれば必ず差し引いて計算

よくある質問（Q&A）

Q1. 医療費控除は年末調整でできますか？

A. できません。医療費控除は年末調整では申請できず、必ず確定申告が必要です。

会社員の方も、自分で確定申告手続きを行う必要があります。

Q2. インプラント治療を分割払いにした場合はどうなりますか？

A. 分割払いの場合でも、実際に支払った年分の金額が控除の対象になります。

契約年ではなく支払年ごとに申告しましょう。

Q3. 家族の医療費はまとめて申請できますか？

A. 同一生計であれば合算可能です。

たとえば、配偶者や子どもの治療費をまとめて申請することで、控除額が増えるケースがあります。

Q4. 医療費控除の申請を忘れた場合はどうなりますか？

A. 申請を忘れても5年以内であれば遡って申告できます。

過去の領収書や交通費の記録を保管しておけば、後から申請可能です。

Q5. 自家用車で通院した場合のガソリン代は対象ですか？

A. 原則として対象外です。

ただし、公共交通機関が使えない場合など例外もあります。

まとめ｜インプラント治療を受ける前に医療費控除の知識を

インプラントは高額になりやすい治療ですが、医療費控除をうまく使えば税負担を減らせます。

制度の内容や条件、申請方法を理解し、家族合算や過去申請も活用すれば、節税効果を高められます。

インプラント治療を検討している方は、治療計画とあわせて医療費控除の条件や流れを確認し、経済的な負担を少しでも減らす準備をしておきましょう。

※本記事は一般的な医療費控除制度の概要をまとめたものであり、個別の税務相談を行うものではありません。申請の可否については、必ず国税庁の公式情報や税務署・税理士など専門家にご確認ください。

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